2013年、「アメリカで映画を撮りたい!」と海を渡り、一途に夢を追い続けたひとりの青年の長編デビュー作が誕生した。世界中の新しい映画の「才能」が集結する「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)映画祭」でワールドプレミア上映されるやいなや話題を集め、ロサンゼルス・アジアン・パシフィック映画祭2013で最優秀脚本賞、サンディエゴ・アジアン映画祭2013で最優秀作品賞を受賞。その後、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ハワイほか全米の各都市で劇場公開され、イギリス・ロンドンで行なわれたレインダンス映画祭での上映などを経て、いよいよ日本での劇場公開が決定した。
その映画の名は『サケボム』———— 突然の別れを告げていなくなった元カノをあきらめきれず、一途に彼女を追いかけ生まれて初めて日本からアメリカへやって来た素朴でまっすぐな日本人青年、ナオト。元カノ探しのお供は、イヤミばかり言っている嫌われ者なうえ、最近彼女に振られますますひねくれている、いとこのセバスチャン。国籍も境遇も文化も性格も正反対な2人が、ロサンゼルスからサンフランシスコまで元カノ探しの旅を続ける中、衝突し合いながらも互いにありのままの自分を見つめ直す姿を描いた青春“ほろ苦”ロードムービーだ。
本作のメガホンをとったのは、岩井俊二監督や紀里谷和明監督の海外進出をアシスタントとして支えるなどハリウッドを拠点に活躍する新鋭、サキノジュンヤ監督。自身の映画デビュー作『CASSHERN』 のアメリカ版の編集を共に行なった紀里谷和明監督は、「単身アメリカに渡り、十数年。さまざまな困難を乗り越えて、ようやく彼の夢が結実した。今までの経験や想いが詰まった素晴らしい映画。日本でも劇場公開が決まったのはとても嬉しいし、僕は全力で応援したい」と語り、その才能に全幅の信頼を寄せた。また、脚本は「ハリウッドのネクストジェネレーション25人」に選ばれたジェフ・ミズシマ。2人は、アメリカに暮らすアジア系民族の葛藤、マジョリティの中に生きるマイノリティが直面するアイデンティティ・クライシスという一見シリアスになりがちな題材を、ナオトとセバスチャンの珍道中を通して、軽妙なコメディへと昇華させた。とりわけ、“口の悪さは天下一品”なセバスチャンがぶちまける過激な本音のオンパレードには、アメリカ人観客もさぞやご立腹……かと思えば、なんとみんなそろって大爆笑!!
ちなみに、タイトルの“サケボム(SAKE-BOMB)”とは、ビールジョッキの口に箸を渡し、その上に乗せた日本酒のおちょこを「サケボム、サケボム、サケサケボム!」の掛け声でテーブルを叩いて爆弾のように落として作るカクテルのこと。日本食ブームのアメリカでは、パーティで必ず盛り上がるポピュラーな飲み方だ。
果たして、この一風変わったタイトルに込められたメッセージとは?ナオトとセバスチャンの旅を見届けたとき、答えがきっと見つかるはず。
いつから自分は臆病になってしまった?
いつから自分の気持ちにフタをしてしまった?
ナオトの7日間にわたる小さな小さな冒険は、
セバスチャンにとって“ほんとうの自分”に出会うための
大冒険。
明日に向かって新たな一歩を踏み出そうとする
アナタの背中をそっと押してくれる、
ふたりの凸凹な旅。
観れば誰もが、明日ちょっとだけガンバレる、
ほろ苦の青春ロードームービーの誕生だ。